2017/12/16

初めての職人展を終えて


今回は、今年2017年の10月17日〜31日に開催しました「開化堂 職人展」を振り返っての記事を書きたいと思います。

今回の職人展では、開化堂で働く7人の職人が普段つくっている茶筒とは違う、思い思いの作品を制作し、皆さまに観ていただくことをしましたが、思っていた以上に皆さまからの反応をいただき、まずはやって良かったな、というのが素直な感想です。

職人達も、もっとブラッシュアップできたかなぁ、などの反省もあるようですが、まずは、自分たちが思う作品を形にして、誰かに観てもらえた、ということは非常に大きな刺激になったようで、もう次の作品づくりをはじめているものもいます。













今回、Kaikado cafeを会場としたこともあり、そもそも茶筒や、ものづくりに関心のないお客さまもおられる中、作品を観ていただきながら自分の言葉で作品を紹介し、直接ご意見や反応をいただくことができたことは、商品にせよ、作品にせよ、ものづくりに対する責任を、今まで以上に感じてもらえよい機会になったんじゃないかと思います。


職人展参加メンバーです。
ちょうどこの写真のように、普段はとても真面目に、
ひたむきにものづくりに励んでくれていますが、



ちゃんとちょけたりもします。


世間的には、「職人」に対して、まだまだ偏ったイメージや、堅い、頑ななイメージがあるように思います。確かに一人前の職人と呼ばれるまでには、時間や経験が必要であることは事実ですが、必ずしも、一つのことだけをやり続けないといけない訳ではありませんし、もっと自由な発想が持てたり、人間的な成長も非常に大事だと思っています。

職人展では、良い意味で職人のイメージを崩して変えていくことや、ものづくり、職人に興味を持ってもらえる機会になってくれればいいなと思います。

とは言え、まだまだ始まったばかりですし、今回のことを活かして、色んな形で皆さまに還元、ご報告をしていきたいと思います。


職人展開催前の記事です。
https://kaikado-blog.blogspot.jp/2017/10/blog-post.html


2017/11/18

ドボ漬けのブリキ



開化堂の茶筒の素材に使っている「ブリキ」。

ブリキは、昔ながらの「ドボ漬け」という製法でつくられたブリキの板を仕入れて使っています。

このドボ漬けブリキ、名前の通りうすい鉄板を、熱で溶かしたスズの中にドボンと浸し、しばらくつけて表面にスズの膜を定着させて作られるもので、鉄板をスズの中で移動する時や、引き上げる時のスズの流れが特有の文様となって、全体的に完全な鏡面ではなく、少しくすんだ仕上りになります。

近年では、電気を帯電させてスズを定着させる「電気メッキ」と呼ばれるブリキが主流で、表面が非常に滑らかで鏡のように仕上ります。ですが、開化堂をはじめた頃と同じ手法で作られた、風合いあるドボ漬けのブリキを使い続けたいと思っています。

今、作っていただいているブリキの場合、スズの硬度は高くないので厚くつけると非常に柔らかな印象になります。反面傷がつきやすくもなります。
これもやはりスズの特性として大事だと考えているところで、例えば、木材の無垢板と同じで、使っていく中で傷や擦れなどで風合いが変化していきます。これが、使う人だけの味になっていくのです。

上がドボ漬けで作られたブリキ、下が電気メッキのブリキです。

ただ、このドボ漬けのブリキは時代とともに作る所が減ってしまい、親父(五代目)の代には手にいれるのがかなり難しくなっていました。そんな中、うちでお願いしていた製作所さんもついにやめられることになった時がありました。
その時は、うちと同じように取引されていた別の会社さんが、なくなるとどうしても困るということで、その機械をそのまま買い取って引き継がれました。
そこに五代目と一緒に頼み込んで、開化堂用にスズを特別厚くつけて、表面を綺麗に仕上げてもらったブリキを仕入れさせてもらっています。

世間的には、ドボ漬けのブリキはもう作られていないとされているようで、
ある研究者の方は、うちがドボ漬けのブリキを使っていると聞いて、驚いて飛んでこられた程です。

今、お願いしている会社さんがやめられたら「もう最後は自分で作るしかないかな」
なんて思いながら、何とか今後も仕入れられるように思案中です。



2017/11/04

鳥獣戯画のお茶筒できました。



鳥獣人物戯画の所蔵元である高山寺さまから、公式な許可をいただいたお茶筒ができました。
2017年11月1日(水)から14日(火)に、ジェイアール京都伊勢丹さんで開催の「鳥獣人物戯画 meets グラマラス京都」にて販売されています。


この写真だとわかりにいですが、継ぎ目の左下に「高山寺」の刻印が入っています。

実は、高山寺さまの公式許可をいただいて販売されている商品は非常に少ないそうで、ちゃんと許可をいただき「高山寺」の刻印も入っています。



日本最古の漫画といわれるうさぎや猿や蛙たちが、胴回り一面に刻印された様は、非常に楽しげです。使い込んで色変化をしていくと、さらに絵柄も浮かび上がってきて、使い込みがいのある茶筒だと思います。
この機会に是非、お手に取ってみてください。

まだ時期は未定ですが、開化堂でも今後販売を予定していますので、ホームページなどでまた改めてお知らせいたします。


2017年11月1日(水)〜14日(火)
ジェイアール京都伊勢丹
鳥獣人物戯画 meets グラマラス京都



2017/10/06

開化堂初の、職人展を開催します!

今回は、10月17日より開催します「開化堂職人展」のご案内です。

開化堂としては、同じ茶筒を100年後もつくれることが目標です。
これは、今お茶筒を買っていただいた方に100年後でも修理ができるようにするためです。

ただ職人としては、ものづくりをする道を選んだのなら、同じものだけを作り続けるだけでなく、色々なものを作れるほうが楽しいと思います。

だから、職人達のこれまでの経験や個性を活かして、新しいものを生み出す場として「職人展」を開催することにしました。
今回は7名の職人が、それぞれの作品をつくります。元ダンサーや芸大出身者など個性豊かなメンバーが、新たなものを生み出す初の試みとなります。

ただ、ここで作って観てもらったら終わり、ではなく、ここで人と人とがつながったり、これがきっかけで商品化できたり、さらに展開していけるような次のステージも作っていくつもりです。職人の活躍の場を、自分たちの手で作っていきます。

ちなにみ、今回告知用に制作しましたビジュアルは、職人達が作る作品の途中段階や道具など、作品の「片鱗」となるものを並べて撮影していますが、展示会場となるKaikado Cafeにお越しいただき、どんな作品が生まれたのか答え合わせをしていただくのも面白いと思います。

皆さまぜひ、職人展にお越し下さい。
職人のこれからの可能性を感じていただけると思います!


【開化堂職人展】
開催期間:2017年10月17日(火)〜31日(火)まで
展示会場:Kaikado Cafe 京都市下京区河原町通七条上ル住吉町352
Open:10:30〜19:00
Close:木曜日、第一水曜日


2017/08/20

みんなを支える開化堂のおかん


今回は、五代目の妻であり、私のおかんである八木和子をご紹介したいと思います。
開化堂の社風はすごく家庭的だと思っていますが、それを支えてくれているのは、やはりおかんだと思っています。





お店や事務所まわりの掃除や生花の手入れに始まり、朝、全員が集まる朝礼では皆の顔色や様子に気を配りながら、一日を通して一人ひとりに「調子はどう?」と声をかけながら、できるだけ全員とコミュニケーションを取るようにしてくれています。
時には、一人暮らしの職人に食事の差し入れをすることほど世話好きです。
職人やスタッフからは、直接私や親父(五代目)に言いづらいことをおかんに相談したり、おかんを通して伝えるようなフィルター役にもなってくれています。


結婚前は銀行員だったこともあり、経理ができて気立てもいいということで、親父より先に祖父が気に入って縁談も進んだそうで、経理関係はもちろん、営業でも接客でも何でもこなします。

また、自分でも「でしゃばり嫁」というくらい、職人以外の仕事は何でもこなしますが、プライベートでも、昔のど自慢大会で優勝経験があるほど歌好きで、それが高じてイベントの司会の仕事まで来るようになりました。今では、台本などなくタイムスケジュールくらいしか決まっていなくても、アドリブでスラスラと進めてしまうほど手慣れています。

ただ、今でこそ笑って話せますが、おかんがテレビに出ていたことが中学生の時はとても気恥ずかしくて、ひた隠しにしていました。でも親友にたまたま見つかり電話がかかってきたことがあります。その時はしばらく昼飯をおごってなんとか黙っていてもらう、なんてことをしていました。


そんなおかんですが、私にとっては唯一本音で話せる相手で、おかんからすると生意気な息子かもしれませんが、、、

開化堂のものづくりを職人に伝えていくためには、口で伝え、手で伝え、そして、言語化できない様々なものに対する考え方や接し方を、ともに過ごす中でできるだけ共有することが必要だと思っています。そうするためには、お互いの信頼関係が非常に大事で「開化堂のおかん」はとても大きな支えであることは、間違いありません。



2017/06/15

1ヵ月でもここまで変わる。写真でみる色変化。


「どんなふうに色が変化していくの?」と、実演や店頭でよくご質問をいただきます。
また、雑誌などで新品だけをご覧いただく場合など、「色が変わっていく」という言葉だけでは変化の過程がイメージしづらい方も多いと思います。

今回は、茶筒の色変化を少しでもイメージしていただきやすいように、新品から撫で始めて半年間を、1ヵ月ごとに写真を撮ってみました。必ずこうなる、という訳ではありませんが、茶筒を使い育てていく楽しみを感じていただけると幸いです。


【銅】
銅はほかの素材と比べて一番変化がはやく、撫で始めて1ヵ月の間に、濃い茶色へ変わっていきます。人によっては1週間ほどで写真の1ヵ月に近いくらい変わる場合もあります。通常、1〜2年程度で変化の度合いは落ち着いてきます。
ただ、この落ち着いてくるまでの間に、多少変化にムラが出たり、水滴などによるシミなどができて「汚れてきた」ように感じる方もおられますが、そこを辛抱して撫で続けていただくとムラやシミがなじんできて、全体に艶が出てきます。ここから、さらに撫でていくと深みのある、綺麗な飴色になっていき、変化も均一になっていきます。





【錻力】
錻力は、銅、真鍮に比べ一番変化の遅い素材になります。写真をご覧いただく通り、徐々に徐々に鏡面のような光沢が大人しくなり、灰色に変わっていきます。そして、30~40年かけて銀〜灰〜黒へと変わっていきます。その間も、わずかな凹凸が地模様のように変化し続け、最終的には渋みのある茶筒になります。




【真鍮】
撫で始めると、銅ほどではありませんが変化が現れ、1ヵ月が経つ頃には新品とはまた違った艶がでてきます。使い始めの金色から徐々に赤み、もしくは黄色がかっていきます。また、撫でる際に手の平の触れる頻度の違いが徐々に全体の色変化に現れてきて、まさに使う人だけの文様が生まれてきます。10年もすると濃い飴色に落ち着いていきます。





いかがでしょうか?
今回撮影しました茶筒は、毎日1分程度撫でて変化したものですが、
もちろんこれは義務ではありません(笑)。

例えば、お茶やコーヒーを飲んだり、料理をつくったりする日常の中で、茶筒を使うことを含めて「小さな楽しみ」として、手に取った時に撫でてもらえるといいと思います。
触る人によって、手の水分量、油分量の違いや、季節、天候、気温、撫でる時間によっても変化の仕方は違ってきますので、使った人にしかできないことともいえます。

日常生活の中で茶筒を使う時に、少しだけ意識して撫でる。それを続けていただければ、それだけであなただけの茶筒に育っていくのです。そして、これは数十年単位で楽しんでいただけることですので、続きを次の代の人につないでいただくこともできると思います。

ぜひ、気長に無理せず楽しんでください。
撫で方は、こちらの記事も参考にしていただけると良いかと思います。





2017/05/10

永くお使いいただくために。


開化堂の茶筒を毎日お使いいただく中で、ふいに落としてしまいヘコみができてしまったり、蓋が閉まりづらくなることがあると思います。
こんなときは、修理を承っておりますのでご相談ください。

京都の開化堂をはじめ、職人がお邪魔します実演先に茶筒をお持ちいただければ、状態を見ながらご相談させていただけます。叩くだけでも直せる、部品を取り替えないといけないなど、職人の経験をもとに判断してお伝えしていきます。

また、お電話にてご連絡いただければ発送修理も承っております。その際は、使用年数や素材の種類、茶筒の状態なども合わせてご連絡いただけますとスムーズです。
いずれの場合も、お見積をさせていただき、修理にかかります。
状態によりますが、最長で2ヵ月程度お時間を頂く場合もあります。


すべて手づくりだからこそできる「修理」ですが、やはりお客さまに安心して永く茶筒をお使いいただけるよう行っていることでもあります。
お買い上げ頂いたら終わり、ではなく、お買い上げ頂いてからお客さまとのお付き合いが始まります。

また、磨き直しも承っておりますので、あわせてご相談ください。
今まで、色変化の際に少しムラがでてきたり、多少の傷がついた際にご相談をいただく場合がありますが、そのまま手で撫でてお使いいただくうちに、だんだんと馴染んで良い味になってくる場合もありますので、ご使用に支障がない時は、茶筒の個性として育てていただくのもよいと思います。


本日から開催の、松屋銀座さまでの実演販売でも、12日より職人が在席しておりますので、修理のご相談を承っております。お気軽にお声掛けください。

【松屋銀座 実演販売】
日時:2017年5月10日~5月16日
※12日〜14日のみ職人が在席しております。